Δt=0 ΔE=∞

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真空の揺らぎ

元のはなしに戻ろう

Δt=0 ΔE=∞という

わけのわからないことが

不確定性原理から導かれる

(可能性がある)

ってことを書いたよね

初めに断ったけど

この考え方は基本的には

認めてられないから気を付けて

それこそ数学上の考え方なんだから


『0』という考え方と

『∞』という考え方に

やはり少々抵抗があるから

0を限りなく0に近い

∞を限りなく無限に近いってことにしよう

極限っていう言い方でいいのかな

有限の枠内での0と∞って

考えかただね

そうなると不思議なことがおこるんだ

極々短い時間(Δt≒0)ならば

極端に大きなエネルギーが

生まれてもよいってことだよね

エネルギーって質量だとも言えるじゃない

だとすると 極々短い時間だったら

質量(物質)が現れても

いいってことになるんだよ

でも 質量(物質)が

生まれっぱなしっていうのは

困ったことになっちゃう

だから極々短い時間の間に

質量は消えなくちゃならなくなる

ここまでは馬鹿げたはなしだけど

理屈じゃなんとなくわかるよね

問題はここから

質量(物質)が消滅するためには

それを打ち消すものがいるってことになる

別にエネルギーが物質にならなくても

エネルギーのままでもいいけど

それでもそのエネルギーを

打ち消すものが

いるってことには変わりがないよね

そうなるとΔt≒0で起こることは

エネルギーと反エネルギ―

もしくは物質と反物質が

生まれてくるってことにならないかな

そして それは極々短い間に

お互いが打ち消し合って

消えちゃうってことに

このあたりになると

どこまでが本当のことで

どこからがおとぎ話なのか

わからなくなっちゃうよね

反物質や反エネルギーなんて

SFやアニメの世界では

おなじみだけど

すくなくともぼくの頭の中じゃ

想像すらできないんだよな

だけど物理学者は

いつも言うけど異常な人揃い

そして なんとかして

観測しようとする

結果反物質とか反エネルギーと

言えるかどうかはわからないけど

マイナスの電荷を持っているはずの

『電子』に対して

プラスの電荷を持つ

『陽電子』ってものを

見つけちゃったんだよね

どうやら宇宙の中で

ある点 ある時間において

エネルギーが一時的な変化を起こすことで

粒子・反粒子の対が生まれているって

ことらしい

この粒子・反粒子は『仮想粒子』と呼ばれ

この現象を引き起こすことを

『真空の揺らぎ』

って言うそうなんだ

(あくまで今のところ仮説だけどね)

宇宙の中で 極小時間の中で

粒子・反粒子が生まれ

すぐに対消滅することが

『真空の揺らぎ』

ってことなんだそうだ

混みあっている真空

真空っていうのは

何も無い空間って

イメージが強かったんだけど

どうも最近は

宇宙というか 真空中には

いろんなものが

詰まっているというのが

定説になっているみたいだね

相対論の方面からでも

真空中には『場』が

詰まっているって考えかたが

出てきているし

量子論からも『真空の揺らぎ』なんて

訳の分からないものが

出てきているし

宇宙論でもビッグバンから

始まったとする仮説の中の

インフレーションモデルに

使われているし……

朝の通勤電車並みに

真空も混みあっているみたいだ

何も無いってことは

空間でさえないってことだから

何もない空間っていう

表現はおかしいのは事実

では 宇宙(真空)には

なにが詰まっているんだろう

一つ言えるのは

ぼくたちの感覚で捉えられるもの

(物理的な存在だね)

じゃないことは

間違いないと思うんだ

物理学の前提条件をひとつ

思い出してほしい

『エネルギー保存則』

要は真空中の存在がなにであれ

質量やエネルギーを

持っていてはいけないことになる

もしくは真空の歪みのように

対創成・対消滅を超短時間で

繰り返している

ってことなんじゃないかな

場の理論で言うならば

四つの力を

(電磁気力・重力・強い力・弱い力)

伝える光子や重力子には

質量があってはいけないってことに

なるんだろうね

もしくは 光子や重力子にも

対消滅する反粒子が存在するか

(光子については質量があるって意見が

多くなってきているみたいだけど)

どちらにしても

電磁波や重力波に対して

影響を与えない存在で無いと

いけないという条件は付くね

この宇宙には何かが満ちているって考えは

『エーテル論』に通じるものが

あるんじゃないとおもうんだ

現在ほとんど無視されてる

説だけど

エーテル復活でも

いいのかもしれないよ

アリストテレスさんや

デカルトさんが主張した

『エーテル』の考えかたは

存在として通常の

物理概念の延長として

無理やり構築されていた

発想だったから

光速の不変のところで

躓いちゃったけど

この宇宙が なにものかで

埋められているという考え方は

エーテルってものの考え方の

発想の展開を持ち込めば

なんとかなるっていうのは

ぼくの希望的

欲求なんだけどさ

アインシュタインさんが

『エーテル論』を

全否定しなかったのは

このためなのかもしれないね

宇宙ってなんだ?

ハイゼンベルグさんの

不確定原理から

とんでもない方向に

脱線しちゃった

何度も言っているけど

けっしてここに書いたことは

ひとつの仮定であって

しかも大多数の肯定を受けた

説ではない

ってことだけは間違えないでね

まあ 物語でも読んでいると

思ってもらえばいいんじゃないかな

だから物語ついでに

もう少し続けてみるね

宇宙(真空)には

『場』があったり

『真空の揺らぎ』のように

正と負の粒子が

出来たり消えたりしている

なんてことになってきた

ただ真空っていうのは

エネルギーとしては

もっとも小さい状態だってことには

だれも反対しないんじゃないかな

もともとあった

何も無い空間って発想は

エネルギー0の空間ってことだし

なにかがあったとしても

それは限りなく0に近い

エネルギーの最小の空間って

ことになるってことだと思うんだ

でも エネルギーが0の空間が

なぜエネルギーが最小の空間になるんだ?

って考えた人がいる



『0』より『-』のほうが

小さいじゃないって

主張した人がね

この突飛もない説を

打ち出したのがディラックさん

このひと 『相対論的量子論』という

量子論に相対論を持ち込んだ

研究をしていた人なんだよね

相対論と量子論は

相性が悪いって書いたけど

高エネルギー原子物理学と呼ばれる

最先端の物理学の研究で

たとえば電子を光速の99.99%くらいまで

加速できるような実験ができるようになり

電子のエネルギーが

質量化することがわかったり

素粒子の寿命が

高速で動けば伸びちゃうなんてことが

わかってきたらしいんだ

もっともディラックさんらが

この研究をしていたのは

それよりだいぶ前なんだけど

相対論と量子論という

二大発見を

まとめたいって思っていた人は

やはりいたってことだね

ハイゼンベルグさんの

『行列方程式』と

これから出てくる

シュレティンガーさんの

『シュレティンガー方程式』

この量子論の基礎方程式は

非相対論的なんだ

その基礎方程式に

特殊相対性理論を持ち込んで

『ディラック方程式』を

導き出したってことだね

だけど その方程式を解いていくと

不思議な解が出てきて

しまったんだそうだ

負のエネルギーを持った電子ってものが

存在することになってしまったんだよ

ディラックの海

ディラックさんは

『相対論的量子論』

量子論の中に相対論を持ち込もうって

考えかたから

シュレティンガー方程式に

改良を加えて

ディラック方程式を

たてた人なんだ

シュレティンガー方程式は

後から出てくるけど

この方程式にも

『虚数』が出てくるって

へんてこなものなんだよ

そして このディラック方程式を解いていくと

負のエネルギーを持った電子ってものが

現れてきちゃったんだ

普通だったらじぶんの立てた方程式に

どこか間違っている部分が

あるんじゃないかって

考えるところなんだろうけど

ディラックさんは違っていた

じぶんの方程式に

絶対の自信を持っていたんだろうね

方程式は正しい

ならば実際に負のエネルギーを持った

電子があるに違いないって

その根拠となったものが

不確定性原理から導き出される

極短い時間ならば

莫大なエネルギーが

生まれてもいいって考えかた

そのエネルギーが

瞬間的に生まれてすぐに消えていくという

『対創成』『対消滅』が起こりえるのなら

物質と反物質が

対創成して対消滅するってことが

あってもいいんじゃないかってこと

現代の高エネルギー原子物理学では

じつは物質と反物質ってものの存在が

確認されているらしいんだね

ただ ぼくなんかが考えると

世の中に反物質があるとすれば

あっという間に

この宇宙って消滅しちゃうような気も

するんだけど

なぜ物質と反物質が融合して

無に帰らないのかって研究も

進んでいるんだそうだ

ディラックさんの時代では

(1900年代初頭だね)

そこまで研究が

進んでいたわけじゃないんだけど

高エネルギーのガンマ線が

原子核と反応して

電子と陽電子が出来ちゃう

(対創成)

っていうことは

薄々わかっていたみたいなんだ

で ディラックさん

自分の方程式から

負のエネルギーを持つ電子の存在が

導き出されたときに

宇宙っていうのは

負のエネルギーを持つ電子の詰まった

空間じゃないかって

考えたんだね

真空とはエネルギーの0もしくは

最小の空間だってことになれば

負エネルギーを持つ電子が詰まった空間は

当然0よりもエネルギーが

低いじゃないかって

そうするとガンマ線の影響で

電子と陽電子ができるってことに

簡単に説明が付いちゃうってこと

真空中には負のエネルギーを持つ

電子が詰まっている

そこに高エネルギーの

ガンマ線が通っていくと

ガンマ線が負のエネルギーの電子に

エネルギーを与える

そうなると

負のエネルギーを持っていた電子が

通常の電子(負電荷だよ)となって

飛び出してくる

電子が飛び出しちゃうと

宇宙に穴が開いてしまう

宇宙は負のエネルギーを持った電子が

詰まっているのだから

そこに空いた穴は

正エネルギーの電子として

観測できるはず

ただし その電子は正電荷だよ

すごくアバウトな言い方をすると

こんな感じかな

物理的には 電子と同じ性質を持つ

電荷のみが正の粒子のことを

ディラックさんは

『騾馬電子』って呼んだんだね

これが現在の『陽電子』ってこと

この『陽電子』

じっさいにアンダーソンって人が

発見しちゃっているんだよ。

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